コレに注目! 6月6日「楽器の日」
製造部圧延課 ハンドルネーム ナリタシ・イエペス(60代・男性)
私は月に2〜3回、大島町にあるフラメンコ教室に通っている。といっても、まさか華麗にダンスを踊っているわけではない。フラメンコ・ギターの伴奏で、華麗に舞う女性達のサポートをしているのだ。 私がフラメンコ・ギターに出会ったのは20代前半の頃。その情熱的で激しいリズムに惹かれた私は、フラメンコ・ギターにのめりこんだ。同時期に、偶然にもスペイン帰りのフラメンコ・ギターの先生とも出会い、手取り足取り教えていただいた。そして、約40年たった今でも、趣味で弾いている。(私とギターとの出会いについての詳細は、月刊OTANI’07 11月号をご覧いただきたい。) そもそもフラメンコとは、スペイン南部のアンダルシア地方に伝わる芸能で、カンテ(歌)、バイレ(踊り)、トケ(ギター演奏)、パロマ(手拍子)が主体となっている。もともとスペイン・ジプシーが自分達の娯楽のために生み出した民族音楽なのだそうだ。華やかなドレスをまとい、カスタネットを軽やかに鳴らして踊るイメージは誰しもお持ちだろう。 形、奏法もさまざま フラメンコ・ギターはガット・ギターの一種だ。私はクラシック・ギターの経験もあるが、クラシック・ギターよりも音色が軽く、明るい。(側面と裏面の木の材質の違いによるものらしい)人によってはだんだんその音に物足りなさを感じ、深みのある音を奏でるクラシック・ギターに切り替える、という話も聞いたことがある。 また、クラシック・ギターとフラメンコ・ギターでは弦の種類も違う。前者は高音側(1〜3弦)が単弦、低音側(4〜6弦)が巻き弦なのに比べ、フラメンコ・ギターはすべて巻き弦が張られている。単弦より巻き弦のほうが音量が出るため、迫力あるフラメンコ音楽を奏でるにはもってこいなのだ。 フラメンコには独特のリズム形式がある。例えば、12拍を1単位(コンパス)として数え、その単位のなかで踊る。リズムの軽快な明るい曲調『アレグリアス』は「1-2-3、1-2-3、1-2、1-2、1-2」というリズムを打つ。アレグリアスと対照的に哀愁漂う曲調の『シギリージャス』は「1-2、1-2、1-2-3、1-2-3、1-2」と若干形式がちがう。だんだん聴き慣れてくると、シギリージャスの渋さにハマっていったのを覚えている。 フラメンコ・ギターを弾くには、ギターの基本奏法(アルペジオ奏法やトレモロ奏法…ギターを弾かれる方はおわかりだろう)ができないと難しい。そのベースがあって初めて、フラメンコ独自の奏法ができる。フラメンコ特有の奏法といえば『ラスゲアード奏法』であろう。皆さんも恐らく一度は耳にした事があるような「いかにもフラメンコ!」という「ジャラジャラジャラ〜」という掻き鳴らし音が特徴だ。弦を爪ではじくので、ある程度の爪の長さがないと音量が出ない。余談だが、この間爪を切りすぎてしまい、今は満足な音を出すことができない。次の教室までに伸ばさないと…。(笑)
フラメンコ・ギターを奏でるナリタシ・イエペスさん (社内にて)
さて、月に2〜3回通っている教室では、踊りに合わせてギター伴奏をしている。演奏していて、曲とダンスのタイミングが合ったときの瞬間が実に楽しい。カンテ(歌)、バイレ(踊り)、トケ(ギター演奏)、パロマ(手拍子)が、要所要所でピタッと揃うことがフラメンコの魅力、醍醐味を感じられるポイントだ。少しでも多くの方にフラメンコや、フラメンコ・ギターの魅力を知っていただけたら嬉しく思う。