月刊OTANI'11 新年号特別企画 3

「花を撮る」
写真サークル撮影旅行 「七尾フラワーパーク のと 蘭ノ国」

 昨年の写真サークルの活動を締めくくる月例会として、去る12月11日、石川県七尾市「七尾フラワーパーク のと 蘭ノ国」で撮影会を行いました。通常の月例会とちがって、全員が同じ場所で同じモチーフを撮ることになるのですが、一人ひとり、アプローチの仕方に個性が現れ、撮影中も他の会員のモニターを覗き込みながら、
「なるほど、そう来るか」
「イヤ、そこはもう少し露出を上げたほうが…」などと、にぎやかに撮影が進んでいきます。
 夕方には、当日に各自撮りためた花作品の中から、一人3点ずつと、以前から撮りためてあった「私の自慢の1枚」を各1点ずつ出品し、講師の青山先生と参加者全員で批評会を開催。講師推薦されたノミネート作品に対して参加者の投票により、当日の花の作品のM.V.P(Most Valuable Photo)は、田村信男さんの作品「マイアホーホ」に、「自慢の1枚」のM.V.P.は長田亜沙美さんの作品「虹」に決定しました。


「花を撮る」M.V.P.
田村信男さん 「マイアホーホ」


 講評:花の繊細さと華麗さが見事に表現されています。天候が悪く光が弱かったので発色には苦労があったと思いますが、花の暖かい色が良く出ました。背景のぼかし加減が絶妙で、全体のフレーミングも撮影するときはこれでいいと思います。作品に仕上げるときには、左右を少しトリミングすると一層花がクローズアップされて、訴求力が出ます。ピントが少し甘いのが残念。

「花を撮る」ノミネート作品(一人一点、50音順)


浅倉勉さん
「カトレア・チャンシウジュエル」

荒川陽介さん
「山登り」
講評:カトレアの優雅さ、華やかさを表現した作品です。二つの花を同じ大きさで並べたために、カトレアの特徴である、黄味を帯びた筒状の下の花弁が両サイドを向いてしまいました。ひとつにしたほうが整理できてより強く花の特徴を捉えられたのでは。 講評:サボテンはある意味、無表情なので、小物(犬の置物)を使って演出をした作品です。ちょうどサボテンのてっぺんから犬の頭が出ていますが、後で出てくる高清さんの作品と比べると、犬にもっと表情を持たせたかったですね。カメラの目線をいろいろ工夫して撮って、中から選ぶといいですよ。

島倉希さん
「うさぎ顔」

高井清さん
「ブローチ」
講評:蘭の中でもこの種(パフィオペディルム系)の特徴である形を「うさぎ」の顔に見立てたのは面白いです。背景のぼかしもトリミングもこれでいいと思います。水平、垂直も意識されていてバランスがいいですね。 講評:花の持っている鉱物的な表情を表現したかった作品ですね。右に出ているのはたぶん別の花だと思いますが、フレーミングで中央の花だけにしたほうが、もっとインパクトが強くなったと思います。背景も網目がはっきり写ってしまいましたが、もっとぼかしたかったですね。

高清徳義さん
「犬とサボテン」

竹田香織さん
「嫁入り娘」
講評:先の荒川さんの狙いとかぶっていますが、サボテンの陰から姿を現した犬、という表情が生きています。動きが感じられます。カメラのアングルひとつで、作品の表情がこんなに違うという、良い見本になりました。 講評:花の名前が「嫁入り娘」で、白無垢を着た花嫁をイメージして命名されたそうです。花の特徴が良くとらえられています。背景が写りすぎていて、せっかくのモチーフが背景に若干負けています。もっと背景をぼかしたかったですね。それから、もう少し下から狙って花弁を見せたかったです。

東福真晴さん
「カトレア・チャンシウジュエル」

長田亜沙美さん
「双子」
講評:妖艶な花の魅力を表現した作品です。花の白い部分の発色は、なかなか難しいですね。ホワイトバランスの設定をいろいろ変えて見比べて、もっとも色味の良いものを選んだほうがいいですね。右側にもうひとつの花が入ってしまいましたがフレームからはずしたほうが一層妖艶さを表現できたのでは。 講評:双子姉妹を思わせる並んだ花に、ほほえましさを感じる作品です。花の色もよく出ています。花をもっとクローズアップするために、背景のぼかしがほしいところ。コンパクトカメラであれば、マクロ設定にするか、一眼レフであれば「望遠で引っ張る」テクニックがほしいところ。

中村俊佐さん
「コチョウラン・ブラザーガール」

野村昌弘さん
「カトレア・ポーツオブパラダイス」
講評:構図的に右上から左下に向かう斜めの線を意識した作品ですが、そのためには一番下の花が途中で切れてしまっているのは残念です。それからカメラをもう少し下げるか、右から狙えば、左にはみ出た後ろの花や右側の花もカットできたのでは、と思われます。 講評:ストロボを使ったことで、背景が暗くなり、対象が浮き出てインパクトが出ました。左右対象形のモチーフは、撮影するときに水平、垂直を意識してカメラを傾ける必要があります。この作品も微妙に右に傾いています。それと後ろの花はなくして、対象をひとつにしたいですね。

藤木真悟さん
「輝き」

村中美紀子さん
「スター」
講評:意図的に露出を上げてハイキーにし、光が透けてきているような効果を狙ったとのことですが、機械まかせに写すのではなく、撮影意図を持って心情を作品にしていて、インパクトのある作品になりました。 講評:花の柔らかな表情が良く出ている作品です。背景を整理するため、背景をもう少しぼかすのと、周りをトリミングしてモチーフをクローズアップしたほうが良い。それから5弁の左右対称の花なので、カメラを傾けて、花弁に対して水平・垂直をとったほうがいいです。

湯浅彰夫さん
「ゲレンデ」
講評:ビッシリと並んだ胡蝶蘭を「ゲレンデ」に見立てた作品です。見事に咲き並んだ花を見ての感動を撮られたのですが、このテーマだとしたら、手前と左上の穴が気になります。白い花弁の「白」は本当に難しいですね。せっかくの一眼レフなので、ホワイトバランスの設定を工夫してみてください。


「自慢の1枚」M.V.P.
長田亜沙美さん 「虹」


講評:称名滝はモチーフとして決して珍しくはないのですが、右側のハンノキ滝の水量や、澄みきった青空、左右いっぱいに広がった虹など、この滝を撮るときの良い条件がそろっています。撮影者の感動がストレートに伝わる作品になりました。ただ、携帯での撮影とのことで、プリントするときには、あまり大きなサイズにできないのが残念です。

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【平成23年新春 フレッシュ社員座談会】
【我が家の“おせち”の味】
【「花を撮る」写真サークル撮影旅行記】
【編集後記】

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