『月刊OTANI』最終回 座談会

 【編集部】

企画・取材担当 ⇒ 葵(A)、かほり(K)、ひとやま(H)
画面製作 ⇒ river book (R)
校正 ⇒ foosun (F)


■ 16年半、ほぼ全社員が3.75回登場 ■

H:  2006年3月創刊号の『月刊OTANI』 も、今回号で終了することになりました。16年半にわたって、社内の社員・役員はもとより、社外の各界のみなさまから、エッセイや特別寄稿をいただき、その数も1014本(社内938本、社外の執筆者76人を含む) となりました。社内の記事本数938本を、社員数で割ると、約3.75回転したことになります。
 まず、これまでご協力をいただいた、社内・外の皆様には、改めて心からお礼を申し上げたいと思います。


■ 社内、社会との一体感をめざして ■

H:  この『月刊OTANI』は、どういう目的で創刊となったのでしょう?
F:  私は、R君と一緒に、創刊にあたった一人ですが、200数十名の会社で、当時、事務所2か所+現場、協力会社を含めると10箇所を超える職場に分散して業務を行っていましたよね。しかも夜勤・昼勤に分かれる勤務体制でもある。そんなわけで、部署がちがうと言葉を交わしたことがない人もいるから、もっと社員同士のコミュニケーションを図って、日ごろから、経営者から言われている「会社は小さな社会、大きな家族」と感じてもらうのに役立つ媒体を作ろう、ということが、まず目的の一つでした。
R:  もう一つの目的として、地域住民や、他企業の人達にも、当社の人たちが、こんなにいろいろなライフ・スタイルで、多様な興味・関心をもった、多彩で多才な社員達ですよ、と知ってほしい、という事もありましたね。
 実は2005年に当社のホームページが開設され、私がその管理業務を行うことになったんですが、毎月、新しい情報を掲載していく、良い機会となりました。自分でも、時々の「日記的な記録」を書き込んでいたこともあり、他社のホームページを見ている中で、いくつかの企業のホームページに、社員のエッセイを掲載しているものがあり、社員の方々の人柄が出ていて、楽しいページになっていたので、そこから『月刊OTANI』というアイデアが沸いてきました。
 最初「月刊」と聞いて、「えっ、毎月は大変だぞ」と思ったけど、Fさんから「定期刊行物は、締め切りは絶対だ!」と言われて、仕事に対する向き合い方として、覚悟を決めました。このことは「定期刊行物」というだけでなく、業務の「スケジュール感覚」への心構えにもなりました。


■ ハンドル・ネームも 「可」 ■

A:  記事の中には実名で書いておられる方もおられるけど、多くの人はハンドルネームですよね?これはなぜ?
F:  あくまで記事の執筆者の選択にお任せしたんだけど、2002年〜2005年にかけて、現行の「個人情報保護関連5法」や、個人情報取り扱い事業者に対する義務規定が全面施行となり、創刊したころは社会的に個人情報に敏感だったことで、「どちらでもいいですよ」という形でお願いしたわけです。

■ 社外の「特別寄稿」はどんな分野から? ■

K:  先ほど、社外の76名の方から、特別寄稿していただいた、とのお話がありましたが、具体的には、@ 同業他社や協力会社の役職者、社員の方、A 新聞社・放送局などメディア関係の役職者の方々、B イベント出演者の著名なアーティストの皆さん方など、本当にたくさん寄稿していただきました。
R:  社内の社員・役員からのエッセイは、製造部関連部署のスタッフ・現場ライン者や、事務部門の皆さんのほぼ全員に参加してもらえたし、経営者や部門長からも執筆していただきましたが、ある意味、一度も言葉を交わしたことがない人が「こんなことを考えたり、感覚の持ち主なんだ」とわかる意味でも、創刊時の目的はかなり達成できたと言えるのでは。

■ 「わが社のスペシャリスト」たくさん紹介 ■

K:  毎号記事を読んでいて、社内の人達の中に「こんな趣味・特技を持っている人が、こんなにたくさんいるんだ!」と驚きました。さまざまな分野の「スペシャリスト」といっていいほどのレベルの高さと深さが伝わります。
A:  実際に原稿依頼やお話を聞く方たちは、鉄筋製造のスペシャリストであることはもちろんだけど、プライベートでは「越中おわら」の三味線奏者、県内でも知られたジャズ・ピアニスト、家電製品修理のエキスパートなど、実に分野が多様で、しかもクオリティが高い。
F:  それは本当に驚きました。天体観測が趣味の方の写真を見せてもらったんだけど、研究者レベルの写真だったり、富山から名古屋や長野県松本市まで自転車で「ちょっと行ってきた」という自転車愛好家、地域でブラジリアン柔術の講師をしておられる方、横浜在住時代に、横浜市から防災連絡体制で無線ネットワークの協力を依頼された方など、まだまだたくさんおられる。

■ 家族のぬくもりが毎号 ■

H:  編集作業をしていて、何度も涙がこぼれそうになった記事がたくさんありました。各ご家庭の家族のぬくもり、両親への感謝、子供たちから社員であるお父さん・お母さんへのメッセージが寄せられ、心が温まりました。
F:  年配の方で、職人だったお父さんから仕事への向き合い方を教えてもらって、今の自分の戒めになっているとか、毎年、バレンタインでお父さんにチョコを渡している女性社員の想い、お姉さんの結婚式での思い出を「今までで一番綺麗な姉がいた」と書いてくれた現場の男性社員など、家族ならではのエッセイには、胸を打たれましたね。

■ 写真サークルの「MVP」も画面に彩りを ■

K:  コロナ禍の前までは、社内の写真サークルが毎月月例会を開催していて、当月のMVP(Most Valuable Photo)を決めていたけど、その作品を、毎月、『月刊OTANI』で紹介していたのも、画面に彩りを添えましたね。こうして紹介したことが、やがて社員の写真で製作が開始された『OTANI カレンダー』のベースになっていった、とも言えますね。

■ 取材・編集は苦労より楽しかった ■

F:  創刊に立ち会った者として、社内外の寄稿していただいたみなさんはもちろんだけど、編集部の皆さんのご尽力にも、心から感謝したいと思います。3か月ごとに「企画会議」を開き、次月からのエッセイの執筆者の依頼や、社外各界の方の執筆依頼まで御苦労いただき、感謝します。
K:  『月刊OTANI』の編集は、入社して配属になった部署の主管業務でした。編集の経験はありませんでしたが、純粋に「面白そう、やってみたい!」という気持ちで仕事に臨みました。執筆者のオリジナリティを残しながら、意図や気持ちが伝わるように文章を校正するのはとても難しくて、経験が浅いうちは言葉の迷路の中にいるような感覚で…。自分の語彙力の無さを痛感しましたね。発行後、寄稿していただいた方と社内で会った時に「先日はありがとうございました!」「最近どうですか?」など、会話のきっかけになったのは嬉しかったですね。
A:  私も、それまで現場の人と話す機会がほとんどなかったんですが、原稿依頼や取材に伺って、話すことで、おなじ仲間としての関係を築くことが出来たと思います。そういう意味では、苦労というより、やってて楽しかったです。遠目に見ていて、勝手に想像していた人柄も、実際に話してみると「へ〜、こんな人だったんだ!」、「すごい趣味をもっているんだな、趣味の域を超えているなあ」と、イメージが変わったり、心が満たされたりしたことがたくさんありました。新入社員の紹介などは、誰よりも早く人柄を知ることもできるしね…。本当に楽しい仕事だったと思います。
H:  実は私は人と話すのは決して得意ではなくて、最初にこの仕事を始めたときは、原稿依頼や取材で、話を引き出せるかどうか不安だったんです。でも話していくと、知らなかった人柄に触れたり、教わることで、皆さんと少しずつ心が通って行くことが、大きな収穫でしたね。
R:  画面を作る時には、文章だけではなく、カットのイラストも多用するんだけど、著作権フリーの素材を集めたり、人物写真などは、ご本人に連絡して画像を提供していただいたり、肖像権の了解をいただいたり、その手間は惜しまなかったです。 『月刊OTANI』トップページも数年に一度、イメージ・チェンジのため、何回か変更しました。そうやって工夫することも、楽しみながらできました。
 初期の編集後記を、しばらく続けて書かせてもらったけど、肩の力を抜いて「世間話し」のように、日々の思いを書くようにしたのは、執筆していただいた方にも、訪問していただいた方にも、自然体で読んでいただきたい、という思いがあったからです。



H:  冒頭でも報告しましたが、社内の記事本数938本を、社員数で割ると、約3.75回転したことになり、平均でも一人当たり4回弱の登場です。ハンドル・ネームと言いながら所属部署名はあるので、社内では不思議と、誰のエッセイかはわかるようです。他部署の仲間の趣味や特技、人柄も、だいぶん知られるようになりました。
A:  『月刊OTANI』は、ホームページで公開していることもあり、また当社は、様々に地域文化の発展を願って、微力ながら参加・協力を続けてきており、会社の姿勢への理解も広がってきたと考えます。そいう意味では、創刊時の願いは、かなり実を結んで来たと思います。
 『月刊OTANI』は、今回号で終了することになりましたが、社内報・『鉄筋くんち』(季刊) が2010年1月に創刊され、2022年7月夏号で第51号を迎えています。社内コミュニケーション・ツールとしての役割は、そちらに移行することになります。
 長い間ご愛読いただき、また、社内・外からたくさんの皆さんのご協力をいただいたことを、改めて感謝申し上げます。 
一同:  ありがとうございました!




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