Live Report

武田家コンサート‘08



日 時:2008.6.29(日) pm3:00〜5:00
場 所:武田家(高岡市太田4258-1 高岡市重要文化財)

出 演:

 写真提供:やっし〜
大橋俊希(ギター) 山本有希子(ソプラノ)


 朝から土砂降りのお天気で、お客さんの出足を心配して会場に向かいましたが、開演10分前には広間がほとんどお客様たちで埋まっていました。
 駐車場ではスタッフの方々のきめ細かい誘導がなされ、そこから玄関までのアプローチも、ぬかるみにならないよう、敷物が敷かれるなど、心配りが嬉しくなります。
 このイベントは、高岡市民文化振興事業団が主催し、市の重要文化財である「武田家」を会場に、高岡市を中心に県内で活動するアーティストを出演メンバーとして年1回、開催されています。
プロデュースは呉西を中心に活動するプロデュース・サークル「はっぴえんど」が請け負っており、構成から音響・照明までサークル会員がボランティアとして関わっています。

この日の内容は2部構成。


 第1部はクラシックギター奏者として昨年夏から富山と東京を往復しながら活動を続けている大橋俊希氏のギターのソロ演奏。古いギター曲やスタンダード曲に続いて、キューバのブローウェル作曲の現代曲までを織り交ぜての、楽しい構成。スペインギター音楽コンクール第1位入賞の実力どおり、確かなテクニックに裏打ちされた安定した演奏で、観客を魅了しました。
 ただ、この日のお天気が朝から土砂降りで、昼過ぎには多少小降りになってきたものの、湿気がひどく、クラシックギターのチューニングには、大橋さんも相当苦労しておいででした。


 第2部は大橋さんのギターを伴奏として、高岡市出身のソプラノ歌手、山本有希子さんの登場です。

 写真提供:やっし〜

 山本さんはソプラノの中でもおそらく「コロラトゥーラ・ソプラノ」、あるいは「リリコ・ソプラノ」と呼ばれる声質のように感じられました。とても澄んだ高音が美しく、表情豊かに歌詞の内容を聴き手に伝えようと意識して歌っておられる姿が印象的でした。
演奏曲もルネッサンス時代のラブソングからイタリアの古典歌曲、シューベルトの歌曲「アヴェ・マリア」などに続いて、日本の歌など、大変バラエティに富んだ選曲で、レパートリーの広さを感じました。

 ここで注目したのは、おそらくギター伴奏用の譜面はないのでは、と思われる様々な曲に、大橋さんが山本さんのキーに合わせて、またチューニングを変えながら伴奏をつけておられたことです。大橋さんのアレンジ力の確かさを目の当たりにしました。特に私が面白く感じたのは、「待ちぼうけ(北原白秋:詞、山田耕筰:曲)」の伴奏です。完全に大橋さんのアイディアで全曲通して作られており、コード付けの面白さと、ここぞという聴かせどころで、立て続けのハーモニクスで変化をつけるなど、アイディアの豊富さに驚きました。

 クラシックギターだけの伴奏でクラシック歌手が歌う、という形は私の知る限り、大変珍しい組み合わせですが、このお二人のコンサートを聴いてみて、まったく違和感がないどころか、実に自然で、「大ありだ!」とさえ思いました。曲間でのお二人のトークも、お二人のざっくばらんなお人柄がよく伝わり、大変楽しいコンサートでした。これからもいろいろな場でお二人の活動が続けられることを期待しています。 (文責:foosun)