エッセイ/ボランティア活動
事務管理室 ハンドルネーム ハーティー・コネクション
私は以前、社会福祉協議会でボランティア・コーディネーターという職についていました。ボランティア・コーディネーターとは、簡単に言えば、ボランティアを受けたい人とボランティアをしたい人をつなぐ役目をする仕事です。 その仕事のなかで、たくさんのボランティア活動に関わりましたが、特に一人暮らしの老人に対しての活動と、老人施設・病院での活動が印象に残っています。 一人暮らしの老人に対しては、毎週1回配食サービスを実施していました。婦人会、食生活改善推進協議会、そしてボランティアグループが一緒になって年間スケジュールを組み、栄養士の協力のもと献立から調理までを行います。約60食分を作り、民生委員が安否確認を兼ね配達をしていました。 月に1度はボランティアグループの季節感あふれるお便りやガールスカウトのかわいらしいお手紙も一緒に添えました。その手紙を大事に保管してらっしゃる方もおられ、楽しみにしてもらっているのだと実感できたときには、私までうれしくなりました。 「親切」と「おせっかい」の境界線 病院での活動に関しては、反省というか、ボランティアとは何かについて考えさせられたことがありました。病院の中に待機して、はじめてその病院に来られた方を案内したりする活動でのことです。
車イスを利用されている方からエレベーターの有無を尋ねられました。お教えするより手っ取り早いとおもい、車椅子を押してエレベーターまで同行し、一緒にエレベーターに乗り込み、どのフロアに行くのか聞いてボタンを押して目的の場所までお連れしたのです。 これを皆さんはどう思われますか?果たして車イスの方は喜ばれたのでしょうか? 答えはそうではありません。車イスの方はただエレベーターがあるかどうかを知りたかっただけで、自分で出来ることは自分でしたいと思ってらっしゃったのです。相手の思いを確認せずに、思い込みで良かれと思ってしたことが、かえって余計なおせっかいとなってしまったのです。 心を育てる栄養 「ボランティアだから何をしてもいいというわけではない」ということ、そして「ボランティア活動は、自立を支えるもの、お手伝いするもの」ということ。私はこのことを8年間のコーディネーターという立場から学び、気をつけねばと胸に刻みながら勤めてきました。そして今もそれは変わらぬ私の姿勢です。 お金を貰わないでなにかをすることは簡単なことではありません。そこには必ずたくさんの出会いがあり、たくさんの友だち・仲間が出来ます。さらにそのときに、私たちに帰ってくる「ありがとう」のひとことは、きっと私たちを豊かな気持ちにしてくれます。ボランティア活動は、心を育てる栄養になるはずです。